「ルーレットで決めたら踊れた!」──“挑戦できる子”を育てるための心理的安全のつくり方

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子どもたちの指導の中で、
「1人でやってみよう」と言ってもなかなか動けない――そんな場面に出会ったことはありませんか?
1人で踊ることはなかなかハードルも高いのですが(苦笑)

私のキッズダンスクラスでも、同じようなことがありました。
「じゃあ順番に1人ずつ踊ってみよう」と声をかけても、誰も前に出ようとしない。
みんな下を向いてモジモジ。空気が止まるあの瞬間です。
でもある日、ちょっとした工夫で状況がガラッと変わりました。

“ルーレット方式”で一気に空気が変わる

その日は「ルーレットで当たった人が1人で踊る」というルールにしてみました。
するとどうでしょう。
ルーレットで選ばれた子は、ためらいながらも笑顔で前に出て踊り始めたんです。
そして次の子も、また次の子も。
あれほど重かった空気が、いつの間にかワクワクした雰囲気に変わっていました。
この変化には、子どもの“心理的安全”に関わる重要な要素が隠れています。

① 責任の所在を「自分の外」に置ける安心感

子どもは本当はやりたくても、失敗するリスクが怖くて一歩が出ないことが多い。
でもルーレットのように「当たったからやる」という形だと、
「自分で選んだわけじゃない」という責任の転換が起きます。
「仕方ない。ルーレットで当たっちゃったから。」
そう思えるだけで、“失敗しても自分のせいじゃない”という安心感が生まれるんです。
この他責化による心理的安全は、挑戦を支える大事なポイントです。

② 「ゲーム化」が挑戦のハードルを下げる

ルーレットには「遊び」の要素があります。
「選ばれる=怖い」ではなく、「選ばれる=ドキドキワクワク」に変わる。
つまり、恐怖よりも好奇心が勝つ状態を作れるんです。
教育心理学では、こうした状況を**“遊戯的枠づけ(play framing)”**と呼び、
挑戦を楽しさの中に組み込むと、行動意欲が高まることが知られています。

③ 公平なルールによる“納得感”

「ルーレットで決まった」というのは、極めて公平なルールです。
教師や指導者の恣意的な判断ではなく、誰にでもチャンスがある。
この公正さが、子どもの抵抗感を下げてくれます。
不満が出にくく、受け入れやすい。
これは集団指導の場では非常に重要な心理的基盤です。

④ 「注目」から「応援」へ、場のエネルギーを変える

1人で踊る=注目を浴びること。
これは子どもにとって、時に恥ずかしく、怖いものです。
しかしルーレットで当たると、
「おぉ〜!◯◯ちゃん当たった!」「がんばれー!」と自然に応援が生まれる。
この瞬間、注目がプレッシャーではなく、承認に変わるんです。
つまり、クラス全体が「失敗を笑わない文化」へと一歩近づく。
これこそ、心理的安全の連鎖が生まれる瞬間です。

指導者にできる「安心のデザイン」

この経験から強く感じたのは、
「子どもはやりたくないのではなく、安心できる形があれば挑戦できる」ということです。
挑戦そのものを“強要”するのではなく、
安心して挑戦できる仕組みをデザインすることが、指導者の役割なんですね。
ルーレットでも、くじでも、ゲームでも構いません。
偶然やルールをうまく使うことで、子どもの心に「安心の橋」を架けることができます。

おわりに:ルールの向こうにある「勇気」

あの日の子どもたちは、
“ルーレットが決めたから”という理由で初めて1人で踊りました。
でも本当は、それが彼らにとっての最初の一歩のきっかけだったんだと思います。
心理的安全をどう作るか。
それは教育現場だけでなく、すべての「人を育てる場」に共通するテーマです。
「安心して挑戦できる環境」――
そこにほんの少しの遊び心を加えるだけで、
子どもたちの勇気は驚くほど引き出されます。

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